【第⑦回】インデックス投資の取り崩し問題【4%ルールと心理的な辛さへの向き合い方】

家計・資産運用

コツコツ積み上げてきた資産が減っていく。 それがどれほどストレスか、想像するだけで少し怖くなりませんか? 私自身もまだ取り崩しは未体験です。 でも、使うために増やしてきたはずです。 今回は、FP目線で取り崩しの仕組みと心理的な辛さへの向き合い方を考えてみます。


1. そもそも取り崩しとは?

取り崩しとは、積み立ててきた投資信託を売却して現金化することです。 毎月積み立ててきたものを、今度は毎月引き出していくイメージです。

なぜ心理的に難しいのか

積み立て中は残高が増えていくのを見るのが楽しいです。 しかし取り崩しが始まると、残高が減っていきます。 しかも相場が下落しているタイミングで取り崩すと、資産が一気に減る感覚があります。 「もったいない」「もう少し待った方がいいのでは」という気持ちが出てきやすいです。

これが取り崩しの難しさです。 積み立てより取り崩しの方が心理的にハードだという声は多いです。


2. 4%ルールとは?

取り崩しの世界で有名な考え方が「4%ルール」です。

4%ルールの基本

毎年、資産残高の4%を取り崩せば、30年以上資産が尽きにくいという考え方です。 例えば資産が2,000万円あれば、年間80万円(月約6.7万円)を取り崩せる計算になります。 資産が3,000万円なら、年間120万円(月10万円)です。

資産残高年間取り崩し額(4%)月々の取り崩し額
1,000万円40万円約3.3万円
2,000万円80万円約6.7万円
3,000万円120万円約10万円
5,000万円200万円約16.7万円

なぜ4%で資産が尽きにくいのか

インデックス投資の長期的な平均リターンは年率5〜7%程度とされています。 4%を取り崩しても、残りの資産が運用で増え続けるため、資産が尽きにくい仕組みです。 これは「トリニティスタディ」と呼ばれる米国の研究で示された考え方です。

注意点

4%ルールは絶対ではありません。 相場が長期低迷した場合や、インフレが進んだ場合には資産が想定より早く減ることもあります。 あくまでも「目安」として参考にすることが大切です。


3. 定額取り崩しvs定率取り崩し

取り崩しには大きく2つの方法があります。

定額取り崩し

毎月一定の金額を取り崩す方法です。 例えば毎月5万円を取り崩し続けます。 生活費の計算がしやすいメリットがありますが、相場が下落しているときに多くの口数を売却することになります。

定率取り崩し(4%ルールはこちら)

毎年・毎月、残高の一定割合を取り崩す方法です。 残高が多いときは取り崩し額が多く、残高が少なくなれば取り崩し額も自然に減ります。

定額取り崩し定率取り崩し
取り崩し額毎月一定残高に連動して変動
生活費の計算しやすい変動するので計画が必要
資産の長持ち度普通長持ちしやすい
下落時の影響多く売却してしまう自動的に取り崩し額が減る

定率取り崩しの方が資産が長持ちしやすいとされています。 ただし毎月の取り崩し額が変動するため、生活費に余裕が必要です。


4. 心理的な辛さへの対処法

「使うために増やした」という考え方の転換

取り崩しでお金が減るのが辛いのは、「増やすこと」が目的になってしまっているからかもしれません。 本来の目的は「豊かな老後のために使うこと」のはずです。 「減っている」ではなく「使えている」という視点に切り替えることが大切です。

下落時の取り崩しが一番きつい

相場が下落しているときに取り崩すのは、心理的に一番辛い場面です。 資産が減っている上に、さらに売却しなければならないからです。

この場面を乗り越えるコツがあります。

  • 生活防衛費を別に確保しておく 取り崩しに頼らなくていい現金を1〜2年分持っておくと、下落時に取り崩しを止められます。
  • 相場を見すぎない 毎日残高を確認すると精神的に消耗します。月1回程度の確認に留めるのがおすすめです。
  • 長期視点を忘れない 下落は一時的なものです。ファクトフルネスで学んだように、世界経済は長期的に成長し続けています。

「順番リスク」に注意

取り崩し開始直後に相場が大暴落すると、資産の回復が難しくなります。 これを「順番リスク」と呼びます。 退職直後の数年間は特に注意が必要です。 この時期に備えて、現金や債券を多めに持っておく戦略も有効です。


5. 取り崩しのタイミング

相場が好調なときに取り崩す

できれば相場が好調なタイミングで取り崩すのが理想です。 ただし、相場のタイミングを読むのは難しいため、定率で機械的に取り崩す方が感情に左右されにくいです。

暴落時は取り崩しを止める選択肢も

生活防衛費が確保できていれば、相場が大きく下落したときに取り崩しを一時的に止めることができます。 これが生活防衛費を取り崩しとは別に持っておく理由でもあります。

年金との組み合わせを考える

65歳以降は年金が入ってきます。 年金で生活費の基本をまかない、インデックスの取り崩しは上乗せ分に使うという考え方もあります。 年金があることで、取り崩し額を抑えられます。

高配当株という選択肢も

取り崩しのストレスを減らしたい方には、高配当株との組み合わせという方法もあります。 配当金という形で現金が入ってくるため、元本を崩す回数を減らせます。 高配当株については次回の記事で詳しく解説します。


まとめ

取り崩しは積み立てより心理的にハードです。 でも、仕組みを知っておくことで、いざそのときに慌てずに対処できます。

まとめのポイント

  • 4%ルール:毎年資産の4%を取り崩せば資産が尽きにくい
  • 定率取り崩しの方が資産が長持ちしやすい
  • 下落時に備えて生活防衛費を別に確保しておく
  • 「増やすこと」から「使うこと」への意識の転換が大切
  • 年金との組み合わせで取り崩し額を抑える
  • 高配当株との組み合わせという選択肢もある

次回は、高配当株投資について詳しく解説します。 「元本を崩さずに現金を受け取る」という取り崩し問題の解決策のひとつです。


看護師ゆずです。
保健師・助産師・看護師の資格をもち、子育てをしながらFP3級・簿記3級を取得しました。

看護のこと、転職のこと、子育て、家計管理のこと。
経験してきたことをお伝えしていきたいと思っています。

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